1 :
けいおんSS 2016/11/10(木) 22:22:23.89 ID:E325IWUR0
ピンポーン、とチャイムの音が響き、指が離れるよりも早くに扉が開いた。
うわっはやっ!
えへ、待ちきれなくてさぁ。
扉の隙間から顔を出した唯先輩は、眉尻を下げながらそう言った。
梓「おおげさですね。別の人だったらどうするつもりだったんです?」
唯「わかるよぉ、あずにゃんのことなら」
梓「はいはい」
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1 :
けいおんSS 2016/08/20(土) 22:51:22.08 ID:Ljuzcmhc0
こんなときに、こんなところで、こんなひとに会うなんて、思ってもみなかった。
ずいぶん、重そうだな。
バス停のベンチに腰掛けたわたしの、手前に抱えられた黒いリュックを見て律先輩は言った。
厚い雲に覆われてほの暗い真昼の空とは無関係な、いつもと変わりない気の抜けた調子だった。
わたしは黙ったまま、リュックをぎゅっと抱きしめていた。
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/20(水) 20:28:36.19 ID:YmhTXZNa0
唯「あずにゃんあずにゃん。ポケモンGOっていうのが流行ってるらしいね」
梓「ああ、アレですか。確かに大流行しているみたいですね」
唯「でも私の周りでは誰もやってる人いないんだよ。どうしてだろうね?」
梓「日本ではまだサービス開始されてないんですよ」
唯「なんとっ」
梓「サービス開始されれば日本でもブームになるとは思いますが」
唯「すごいよねー。現実の風景の中にポケモンがリアルにいるみたいになるんだよ」
梓「早くプレイしてみたいですね」
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1 :
けいおんSS 2016/07/01(金) 20:03:08.31 ID:jyPtHX+80
律「そうあせんなくてもいいと思うけど」
紬「でも…でも…」
律「…えーっと、付き合い始めてどれくらいになるんだっけ?」
紬「6ヶ月と12日」
律(即答かよ…)
紬「こんなにたってるのに…それなのにわたしたちまだ…」
律「半年かあ…」
紬「半年と12日!」
律「わかってるわかってる」
紬「わかってない! りっちゃんはわたしと澪ちゃんの12日間の重みをわかってないわ!」
律「ごめんごめん…わるかったわるかった」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/27(日) 21:30:27.10 ID:PK2Z4rMF0
・プロローグ
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/03/27(日) 21:32:19.56 ID:PK2Z4rMF0
私の生き甲斐はここにある。私の大切な人たちとの繋がりがここにある。
どちらかといえば消極的な性格だ、て言われる私だけど。一緒に過ごしていれば胸のうちが自然とぽかぽかと温まる、そんな人たちがいる。
さっきまで繋いでいた手に残る人肌の感触はとても心地良い。そっと手を握り締めたり緩めたりしていると、今でも繋がっているような錯覚を感じる。
「…………」
風が清々しく吹き通って、地面に散り敷かれた桜色をふわりと巻き上げて行方をくらます。その中の一枚が緩めていた手の平にちょこんと収まる。その色のかわいらしさに、無意識に笑みがこぼれた。少し眺めてから花びらを包み込むように手を握る。
『バイバイ、お嬢様ー!』
『また明日ねー!』
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 16:21:11.15 ID:uTXYAyQ7o
2015.梓誕SSです。
先に言っておくと、このSSは今年の紬誕に書いたものを少し書き直した内容です。
つまり紬梓です。
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/11(水) 16:22:26.51 ID:uTXYAyQ7o
人の居ない放課後の、すでに外は日が沈みかけて薄暗くなった廊下の向こうを、
まるでその風景に自然に溶け込んでしまうようにムギ先輩が歩いて行くのが見えた。
私はその後姿を遠くに発見すると、なんだか見てはいけないようなものを見てしまった気がして、
次には自分が今何をしようとしていたのか思い出せなくなっていた。
気付くとムギ先輩の姿は見えなくなっていた。
今日は期末試験のために軽音部がお休みで、私はちょうど、
トンちゃんに餌をやりに部室へ行こうとしているところだった。
…………。
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1 :
けいおんSS 2015/07/01(水) 22:04:54.44 ID:CuC+Dd1t0
すっかり忘れたと思っててもさ。
からだが覚えたことって、一生忘れないと思うんだ。
2 :
けいおんSS 2015/07/01(水) 22:06:25.35 ID:CuC+Dd1t0
-高校一年生、夏。-
右、左、右、左…と二つの太ももが交互に回転するたび、ぴりぴりと刺激が走り、重だるさが蓄積していって、動きが鈍くなっていく。
体重をかけるために腰をあげて全身姿勢をとった。
回転が少しだけ加速する。
上がった顎をクッと引きなおす。
額から頬を伝って顎まで、汗の雫が流れていくのがわかった。
頭がくらくらする。
大きく吸い込んだ息が肺いっぱいにたまり、直ちに吐き出される。
はじめ、足のリズムに合わせて繰り返していた呼吸は、次第に乱れてめちゃくちゃになった。
生ぬるい風が伸び気味の前髪を揺らした。
視界を遮られる。
軽く首を振って前髪をかき分けると、開いたその隙間から夕日が射し込んだ。
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1 :
けいおんSS 2015/06/07(日) 01:37:29.57 ID:DNffAL210
紬「ねぇねぇりっちゃん!わたし行ってみたいところがあるの!」フンス!
律「おっ、どこに行きたいんだ?ゲーセン?カラオケ?ボーリングもいいなーみんなも誘う?」
紬「ううん、わたしね…りっちゃんとふたりで行ってみたいの」
律「そっか。いいぜー。お金がそんなにかかんないとこなら」
紬「お金なら大丈夫!わたしが出すから!」
律「いいっていいって。半分づつにしようぜ。それでどこに行きたいんだ?」
紬「どんなところでも付き合ってくれる?」
律「ああ、もちろんだ」
紬「えっとね………引かない?」
律「う、うん………引かない(たぶん)」
紬「その……りっちゃんわたしね…………」
紬「ラブホテルに行ってみたいの!」
律「却下」
紬「えぇ~……」
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2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:53:20.38 ID:+HxJNIVIo
【純白の夜】
唯「澪ちゃん……」
澪「うん……」
唯「……愛してるよ」
澪「……知ってる。わかってるから」
唯「ありがと……じゃあ、するよ?」
澪「ん、うん……っ」
――その夜、私と唯は心だけでなく身体でも結ばれた。
まだ20年も生きてない身だけど、少なくともそれまでの何よりも幸せな時間だったと、心から思った。
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2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 00:01:31.35 ID:A/teO6r30
-winter side-
ひらひらと花びらみたいに落ちてくる雪が頬に触れた。
止めていた息を一挙に吐き出し、瞼を開く。
しばらく瞳を閉じていたせいか、一瞬光に眩みそうになる。
けれど、だんだんと姿を現すにつれて、空は水糊みたいに濁っていった。
雪はさっきまでと変わらずに降り止む様子はなくて、どんどんと世界を一色に塗りつぶしていく。
ここも、あそこも、そっちも、むこうも、何もかも。あれやこれやの違いは限りなく薄くなっていく。
いまさっき吐き出したわたしの息までも溶けていっちゃう。
この雪が全て溶けてしまったら、この街は海になってしまうのかもしれない。そんなことを思った。
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