1 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:06:59.91
ID:YKOYQ+7w0 なのは「あれ、ヴィータちゃんも後片付け?」
ヴィータ「なのは・・・」
なのは「仕事の方のは終わったけど、部屋の私物が大変だよ」
ヴィータ「ああ、こっちもそんな感じだ」
なのは「そっか、お互い頑張って片付けないとね」
ヴィータ「あ、なのは」
なのは「ん?」
ヴィータ「この後は部隊に戻るのか?」
なのは「んーん、報告だけして上がりかな」
なのは「辞令は下りてるけど教練自体はまだ先になりそうなんだよね」
ヴィータ「だ、だったら食事でもして帰らないか?」
なのは「うん、いいね」
3 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:10:12.69
ID:YKOYQ+7w0 今日、なのはに会えるとは思わなかった
機動六課が解散して少し経つ
みんな新たな希望に燃えて次の部隊に旅立って行ったけど
あたしの気分は少し沈んでた
しばらくなのはに会えなくなるからだ
だから
なのはの顔を見れたのは単純に嬉しかった 5 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:12:53.36
ID:YKOYQ+7w0 あたしは、はやての事が何より大事だ
そして
別の意味でなのはが大事だった
初めて自覚したのは、忘れもしないあの時
あたしの目の前で墜ちて行ったあの時だ
守れなかった
あたしは半狂乱になった
だって
墜ちたのはただの仲間じゃないって分かっちゃったから 8 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:16:26.40
ID:YKOYQ+7w0 はやてと共にある
それだけで十分なはずだった
それが
守護騎士の自分がこんな望みを抱いちまうなんて
後にシャマルは言った
あたし達が魔導のプログラムじゃなくなってるかもしれないって
そんな事が影響してるのかもしれないけど
あたしには分からない
こんな感情は初めてだったんだ 10 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:18:05.40
ID:YKOYQ+7w0 機動六課の仕事は大変だったけど充実してた
はやてと共に居られるのはもちろん
なのはの副官として働く事が出来たから
あたしは普段の態度に気持ちが出ちまわないように
必死に平静を装っていた 12 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:20:50.77
ID:YKOYQ+7w0 フェイト・テスタロッサに嫉妬した事もある
二人の間には深い繋がりが感じられた
あたしの気持ちが弾かれるような
そんな気分を何度も味わった
もし
なのはに支えが必要だとしたら
あいつこそ相応しいんだろう
頭では分かってた
だけど 14 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:23:00.43
ID:YKOYQ+7w0 なのは「ヴィータちゃん終わった?」
ヴィータ「ああ、片付いた」
なのは「ちょうど良かった、じゃあ行こっか」
ヴィータ「そういえばヴィヴィオはいいのか?」
なのは「今日はシスターシャッハの所でお泊まりなの」
なのは「教会の学校通うのに慣れないとってね」
ヴィータ「そ、そうなのか」
ドクン
心臓が跳ねた
別に何がどうなる訳でもないのに 18 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:25:53.20
ID:YKOYQ+7w0 食事中に何を喋ったか良く覚えてない
あたしは、なのはの笑顔に目を奪われてた
顔が赤くなってないか不安だった
バッカじゃないのか、あたし
何をこんなに意識してるんだか
でも
普段通りの受け答えは出来てたと思う
なのはのこの言葉を聞くまでは
なのは「あ、そうだ」
なのは「明日の朝が早くなければ泊まってく?」
ヴィータ「・・・あ、うん」
この時の自分がどういう顔をしてたか
あまり想像したくない 21 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:27:52.46
ID:YKOYQ+7w0 なのは「ごめんね、少し散らかってるけど」
ヴィータ「いや、うちらの所はもっとひどいから」
なのは「あはは、そっか」
なのは「その辺に座ってて、お茶入れるね」
ヴィータ「わかった」
落ち着かない
ただ家に二人で居るだけなのに
こんなに気持ちが乱れてる
ちょっと家まで来たの、後悔かもしれない
なのは「お待たせ」
ヴィータ「わぁ!」
なのは「どうしたの?ヴィータちゃん」
ヴィータ「なな、なんでもない」 23 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:30:10.46
ID:YKOYQ+7w0 なのは「まだ六課が解散して少ししか経ってないけど」
なのは「みんな元気でやってるかな」
ヴィータ「教官としては心配か?」
なのは「教えられる事は教えたつもりだったんだけどね」
なのは「今になってみるとあれもこれも教えてないなーって」
ヴィータ「あいつらなら大丈夫だと思うけどな」
なのは「うん、そうだよね」
なのは「ところでヴィータちゃんのケガは大丈夫なの?」
まずは他人の心配なんだな
こいつらしいけどさ 24 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:32:50.75
ID:YKOYQ+7w0 ヴィータ「あたしの体はもう問題ないな」
ヴィータ「なのはの方こそ大変だったじゃないか」
なのは「わたしはケガも大した事なかったし大丈夫、大丈夫♪」
ヴィータ「・・・誰より辛い思いしたくせに」
なのは「え?」
ヴィータ「あたしの前くらい強がんなよ」
何だあたし
何でケンカ腰になってんだ?
やっぱりおかしい、気持ちがたかぶってる
もう抑えないと
でも
ヴィータ「もうお前の墜ちるとこなんて見たくねーんだ」
ヴィータ「あんまり無理すんじゃねーよ」
なのは「・・・ヴィータちゃん」 26 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:37:03.98
ID:YKOYQ+7w0 なのは「あの時は心配かけてごめんね」
あれ
何で、そうじゃない
そうじゃないんだ
そんな事言わせたいんじゃない
何であたしはこんな不器用なんだろ
嫌になる
器用なやつが羨ましい
ちきしょう 28 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:40:01.85
ID:YKOYQ+7w0 ヴィータ「悪い・・・そんな事言うつもりはなかった」
なのは「いいよ、心配掛けたのは本当だし」
なのは「何より一番近くであんな姿・・・見せちゃったし」
違う
謝るのは、なのはじゃない
謝らなきゃいけないのはあたしなんだ
なのに
何でなのはにこんな顔させてんだ 29 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:43:23.61
ID:YKOYQ+7w0 ヴィータ「違う、あたしが謝りたかったんだ!」
なのは「ヴィータちゃん?」
ヴィータ「なのはが墜ちて行く所を見て怖かったんだ!」
ヴィータ「守れなくて・・・このままお前が居なったらと思ったら」
ヴィータ「あたし、あたしは・・・」
頬が熱かった
手に何かの雫が落ちるのを感じた
これは何だろう
ああ、そっか
泣いてるのかあたし
情けない
こんな感情的になっちゃって 30 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:46:13.03
ID:YKOYQ+7w0 なのは「ありがとう、そんな風に思ってくれてたんだね」
なのは「やっぱりヴィータちゃんは大事な仲間だよ」
ヴィータ「・・・仲間」
なのは「だからやっぱり謝るのはあたしの方」
なのは「そんな思いをさせちゃったんだもん」
仲間・・・か
そりゃそうだよな
なのはは大事な仲間で、全然異論はない
でも
あたしはそれでいいのか?
いいに決まってる
気持ちを打ち明けるなんてダメだ
壊れちまう
今の関係が壊れちまう
壊しちゃダメ・・・なのに 32 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:48:59.22
ID:YKOYQ+7w0 ヴィータ「・・・仲間とかよりもっと大事なんだよ」
なのは「ヴィータちゃん?」
ヴィータ「分かれよ!」
最悪だ
これじゃただの子供じゃねぇか
止めたい
けど
もう止められる訳がなかった 33 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:54:52.15
ID:YKOYQ+7w0 なのは「どういう事?」
ヴィータ「お前が好きって事に決まってんだろ!」
言っちまった
あたしはきつく目を閉じた
もう
なのはの顔をまともに見られない
終わっちゃった
はは 34 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 21:59:54.18
ID:YKOYQ+7w0 なのは「・・・そっか」
そして長い沈黙
耐えられない
ここから逃げ出したい
もう恥ずかしいとか関係ない
でも
体は言う事を聞いてくれなかった 35 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 22:04:35.22
ID:YKOYQ+7w0 なのは「ヴィータちゃん」
こいつの事だ
聞かなかった振りとか、なかった事にするのかな
それも辛いけど
もうまともに話してもらえないとか
そんなのよりはまだましか
いや
それに対してどうやって接して行けってんだ
顔見て話すなんて出来っこない
バカだ、あたし
だけど
なのはの口から出て来た言葉は、全然予想と違ってた 39 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 22:09:11.27
ID:YKOYQ+7w0 なのは「ヴィータちゃんの覚悟が知りたいな」
ヴィータ「は?」
なのは「どんな事があっても、わたしを守ってくれるのかな」
なのは「好きでいてくれるのかな」
ヴィータ「あ、当たり前だろ!」
なのは「そう、じゃあ着いて来て」
なのはは奥の部屋にあたしを案内した
魅入られたようにあたしは着いて行った
だって
他にどんな選択肢があるっていうんだ 42 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 22:11:54.08
ID:YKOYQ+7w0 そう
あたしは魅入られてたんだ
あの時あたしは、なのはの事をこう呼んだ
悪魔と
この言葉は決して蔑みで浴びせた言葉じゃない
怖かった
その意志に、強さに虜になるのが怖かったんだ
思えばこの時
もうあたしの心は囚われていたんだ
この白い魔導師に 43 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 22:15:01.64
ID:YKOYQ+7w0 なのはは無言で扉を開いた
部屋は真っ暗だった
少し目が慣れると、そこは寝室で
しかも
ベッドの上に誰かがいるって分かった 47 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 22:20:24.63
ID:YKOYQ+7w0 あたしは目を疑った
ベッドに横たわるのは、白くしなやかな肢体
その持ち主は
フェイト・テスタロッサだった
フェイト「お客さん・・・だね」
なのは「うん」
フェイト「でも、ちょっとヤキモチかな」
なのは「フェイトちゃん、ダメぇ?」
フェイト「もう、わたしがなのはに逆らえないの知ってるくせに」
なのはがベッドに腰かけるとフェイトはゆっくり体を起こし
そして
深いキスをした
頭の中が真っ白になった 48 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 22:24:49.04
ID:YKOYQ+7w0 目の前になのはとフェイトがいる
だけど
それは、あたしの知ってる二人じゃなかった
気が付くと、なのはがあたしを呼んでた
今まで見た事ない蠱惑的な表情で
なのは「おいでよ、ヴィータちゃん」 50 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 22:28:43.99
ID:YKOYQ+7w0 あたしの頭は痺れたみたいに働かない
それでも操られたように足は進んでった
だってそうだろ
目の前に求め続けてた白い魔導師がいる
しかも
服を脱ぎ捨て、下着姿になって
あたしに微笑み掛けてるんだ
ふらふらと夢遊病者のように歩いたあたしは
そのまま、なのはの胸に顔を埋めた
あたしは全身を愛され
堕ちて行った
深い深い、甘美な闇の底へと 52 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 22:31:05.99
ID:YKOYQ+7w0 そして時は過ぎて行った
相変わらずあたしの心は囚われたままだ
しかも
白と黒、二人の魔導師に
もう逃げられないと分かってた
もう逃げたくないとも分かってた
なのは「今度は、はやてちゃんを呼んでみようか」
なのはがクスっと笑った 53 :
◆1BrjSSUSHI 2013/01/08(火) 22:34:04.35
ID:YKOYQ+7w0 ごめん、はやて
多分あたしは断る事が出来ない
いや
絶対に断れないだろう
でも安心して
今度はやてが陥る闇は、前の闇とは違う
絶望しか産まなかった闇の書の闇とは
そう
違うとこがあるんだ
それは
今度の闇は絶対に抜け出せないという事だ
END 54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 22:34:57.01 ID:eu9t4KwD0
俺は黒なのはいいと思った
乙 56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 22:35:45.97 ID:HM82QmrBO
乙
もっと微に入り細に入り書いてくれてもええんやで 58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/08(火) 22:43:32.70 ID:yHQ3etz90
おつおつ
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なのはSSはまとめてるとこ少ないから嬉しいな
ヴィータとなのはとか少ないからなぁ…最高です
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