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結衣「自販機から京子の声がする」

※ホラー要素注意


1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:10:38.13 ID:I7xWGOmT0


~学校の帰路~


結衣「……今日の晩御飯、何作ろうかな」

結衣「一人だと、あんまり量を作れないし……」

結衣「京子が泊りに来てる日なら遠慮なく作れるんだけど……」

結衣「……」

結衣「……」ハァ


『いらっしゃいませ~♪』


結衣「あれ……?」

結衣「この声……京子?」





3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:15:30.73 ID:I7xWGOmT0


『お飲み物はいかがでしょうか~♪』


結衣「……京子?」


『いらっしゃいませ~♪』


結衣「おかしいな……自販機以外、見当たらないのに」キョロキョロ

結衣「……ひょっとして、中に居るの?」


『またのお越しをお待ちしていま~す♪』


結衣「……何やってるの、そんな所で」



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:18:03.04 ID:I7xWGOmT0


結衣「あ、ひょっとしてアルバイト?学校に見つかったら怒られるぞ?」


『……』


結衣「だいたい、どうして突然バイトなんて……あ」

結衣(そういえば、そろそろ私の誕生日だっけ……)


『いらっしゃいませ~♪』


結衣(もしかして、その為にお金を貯めてくれてるのかな……)


『お飲み物は如何でしょうか~♪』


結衣「……ふふふ、判ったよ、売り上げに貢献しろって言うんだろ?」

結衣「しょうがないなあ、京子は」カチャッ



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:20:16.49 ID:I7xWGOmT0


ガラガラコローン


『毎度ありがとうございま~す♪』


結衣「しょうがないから、綾乃達には黙っといてあげるよ」

結衣「あんまり無理するなよ?」


『またのお越しをお待ちしていま~す♪』


結衣「じゃあね、京子、バイト頑張って」



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:23:45.68 ID:I7xWGOmT0


~翌日~


結衣「さて……そろそろ帰るかな」

結衣(京子、今日もバイトしてるのかな)

結衣(ちょっと寄って行こうっと……)

あかり「……結衣ちゃん」

結衣「あれ、あかり、どうしたの?」

あかり「……今日も、帰っちゃうの?」

結衣「うん、ちょっと寄る所があってね」

あかり「そ、そっか……」

結衣「じゃ」

あかり「うん……ばいばい、結衣ちゃん」



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:25:16.65 ID:I7xWGOmT0


結衣「ん、雨が降ってきたな……」

結衣「ちょうど傘持ってきておいてよかった……」タッタッタッ



『いらっしゃいませ~♪』


結衣「……京子」


『お飲み物はいかがでしょうか~♪』


結衣「何やってるのさ、傘もささずに」



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:26:45.58 ID:I7xWGOmT0


結衣「バイトに一生懸命なのはわかるけどさ……身体を壊したら元も子もないだろ?」


『いらっしゃいませ~♪』


結衣「はぁ……じゃあ、私が傘差しといてやるから、その間にバイト続けなよ」


『まいどありがとうございま~す♪』


結衣「どういたしまして」クスッ



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:29:03.85 ID:I7xWGOmT0


ガラガラガラコローンッ


『またのお越しをお待ちしてま~す♪』


結衣「……なかなか儲かってるね、京子」


『……』


結衣「ま、忙しいのは良い事だよね」




  「あの子、何なのかしら、自販機の横でずっと立ってるけど」

  「待ち合わせでもしてるんじゃない?」

  「けど、自販機に話しかけてるみたいよ?」

  「え、なにそれこわい……」

  「昨日も居たし……もうここの自販機寄るの辞めよっか」



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:30:56.80 ID:I7xWGOmT0


結衣「京子」


『お飲み物はいかがでしょうか~♪』


結衣「最近部活、来ないよね」


『いらっしゃいませ~♪』


結衣「あかり達もさ、寂しがってるよ」


『……』


結衣「バイトが忙しいのは判るけどさ、ちょっと顔出してあげなよ」


『またのお越しをお待ちしていま~す♪』


結衣「はいはい……もう帰るよ、京子もバイト、頑張ってね」



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:33:05.38 ID:I7xWGOmT0


~翌日~

~部室~


あかり「ゆ、結衣ちゃん?どうしたの、こんなに沢山ジュース買ってきて」

ちなつ「わあ、色々ありますねっ」

結衣「うん、遠慮なく飲んでよ」

あかり「う、うん、ありがとっ、結衣ちゃん」

ちなつ「ありがとうございますっ、結衣先輩っ」

結衣「ははは、まあ、京子からの差し入れなんだけどね」

あかり「え……」

ちなつ「……え」



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:35:37.47 ID:I7xWGOmT0


結衣「ほら、京子も色々忙しいみたいで、部活に顔出せてないでしょ?」

あかり「……」

結衣「そのお詫びって意味らしいよ、昨日私が受け取ってきたんだ」

ちなつ「……」

結衣「ちなつちゃん達に会えなくて、京子も寂しいって言って……」

あかり「……結衣ちゃん」

結衣「ん?」

ちなつ「……あ、あはは……結衣先輩、冗談なんですよね……あはは……」

結衣「冗談?」

ちなつ「最近、部活の雰囲気が沈んでるから……冗談で、そんな事言ってるんですよね……」

結衣「いや、別に冗談のつもりは……」

あかり「結衣ちゃん!」



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:37:35.22 ID:I7xWGOmT0


結衣「な、なに、あかり……突然大きな声出して」

あかり「……京子ちゃんは……もう居ないんだよ」

結衣「え?」

ちなつ「……」

あかり「冗談でも……こういう事はしないで欲しいなって……」

結衣「あかり?」

ちなつ「……すみません、私、今日はもう帰りますね」

結衣「ちなつちゃん?」

ちなつ「すみません……」タッ

結衣「ど、どうしちゃったの二人とも」

あかり「……結衣ちゃんこそ、どうしちゃったの」



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:38:48.87 ID:I7xWGOmT0


結衣「どうしたって……私は普通だけど」

あかり「……京子ちゃんが、可哀そうだよ」

結衣「え?」

あかり「結衣ちゃんがそんなんじゃ……京子ちゃんが可哀そう!」

結衣「あ、あかり、落ち着いて……」

あかり「結衣ちゃんの……ばかぁっ!」タッ

結衣「あ、あかりっ!」



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:40:02.94 ID:I7xWGOmT0


結衣「二人ともいっちゃった……」

結衣「どうしたんだろ、京子が部活に来ないのがそんなに寂しかったのかな」

結衣「……」ハァ

結衣「まったく、二人にこんなさびしい思いをさせて」

結衣「本当に、京子はしょうがないなあ……」



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:41:58.13 ID:I7xWGOmT0


『いらっしゃいませ~♪』


結衣「京子、今日もお邪魔するね」


『毎度、ありがとうございま~す♪』


結衣「今日ね、あかりやちなつちゃんと喧嘩しちゃった」


『お飲み物はいかがでしょうか~♪』


結衣「やっぱりさ、京子が居ないと……ごらく部は駄目なんだと思うよ」


『……』


結衣「だからさ……早く、帰ってきてよ」

結衣「……京子」



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:47:14.18 ID:I7xWGOmT0


結衣「そういえば、そろそろ京子がバイトはじめて1週間になるよね」


『……』


結衣「目的の金額、溜まった?」


『お飲み物はいかがでしょうか~♪』


結衣「そっか……まだ頑張んなきゃなんないのか」

結衣「……」


『……』


結衣「……あ、あのさ、京子」

結衣「私、別にそんな高いものじゃなくても……その……」



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:48:59.49 ID:I7xWGOmT0


結衣(うう、私何言ってるんだ……京子は一応、誕生日プレゼントの事隠してるつもりみたいなのにっ)

結衣(……けど、やっぱり京子が部活に来ないのは寂しいしな)


『毎度、ありがとうございま~す♪』


結衣(もう……京子は鈍感なんだから)



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:51:27.24 ID:I7xWGOmT0


結衣「そろそろ暖かくなってきたね、京子」


『お飲み物はいかがでしょうか~♪』


結衣「うん、冷たい飲み物が欲しくなる季節だね」


『毎度ありがとうございま~す♪』


結衣「そう毎回毎回は買ってられないよ」クス


『……』


結衣「もう、拗ねないでよ、京子……」



あかり「……結衣ちゃん」



35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:53:33.59 ID:I7xWGOmT0


結衣「あ、あれ、あかり?」


『いらっしゃいませ~♪』


あかり「……こんな所に居たんだ」

結衣「あはは、見つかっちゃったね……京子」


『お飲み物はいかがでしょうか~♪』


あかり「きょうこ……ちゃん?」

結衣「うん、最近京子が部活に来れなかったのは、ここでバイトしてたからなんだ」


『毎度、ありがとうございま~す♪』


あかり「……京子ちゃんは、ここには居ないよ」

結衣「え……?」



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:54:52.18 ID:I7xWGOmT0


結衣「なに言ってるの、あかり」

あかり「……」


『お飲み物はいかがでしょうか~♪』


結衣「京子、ここにいるじゃないか」

あかり「……居ないよ」


『いらっしゃいませ~♪』


結衣「……居るよ」

あかり「……居ないよ」


『毎度、ありがとうございま~す♪』



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:56:25.41 ID:I7xWGOmT0


結衣「だって、京子の声、するじゃないか」

あかり「……」


『お飲み物』


結衣「あかりにだって、聞こえるでしょ?これ京子の声だよ?」

あかり「……」


『い如何で』


あかり「確かに……京子ちゃんの声だね」

結衣「で、でしょ?じゃあ……」


『しょうか~♪』



40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:57:15.34 ID:I7xWGOmT0


.



あかり「だって、その自販機……京子ちゃんの声を録音した自販機だもん」



.



41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 07:59:39.66 ID:I7xWGOmT0


~数ヶ月前~


京子「み、みんな聞いて聞いて!」

ちなつ「何ですか騒がしい……」

あかり「どうかしたの?京子ちゃん」

京子「当たったの!当選葉書来たの!」

結衣「落ち着けって、京子……何の当選葉書が来たの?」

京子「だから!自販機の音声を公募してたでしょ!あれに当たったの!」

あかり「わあ!京子ちゃん凄いっ!」

ちなつ「え……京子先輩、本当にあれに立候補してたんですか?」

京子「そりゃ当然よ!」

結衣「それって嬉しいのか……」



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:01:49.25 ID:I7xWGOmT0


京子「ちっちっちっ……みんな、判って無いなあ」

結衣「何が?」

京子「自販機って言うのは、街中に配置されてるんだよ?」

あかり「うん、あかりも良く利用してるよぉ」

京子「その自販機すべてから京子ちゃんの音声が聞こえる……」

京子「こ、これって凄い事だよ!?」

ちなつ「まあ……確かに……」

京子「言ってみれば、この街の公共施設すべてが京子ちゃんの手に落ちたも同然だよ!?」

あかり「す、凄いっ!?」

結衣「いや、そんなはずないから……」



46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:04:17.00 ID:I7xWGOmT0


京子「まあ、それは言い過ぎだとしてもさ、これからは寂しい時に何時でも京子ちゃんの声が聞ける訳ですよ」

結衣「いや、別に普通にお前に電話すれば声聞けるだろ」

京子「お、結衣ちゃんは寂しくって私の声が聞きたくなった事があるんだね?ん?」

結衣「なっ///」

京子「もう、しょうがないなあ、結衣にゃんは……何時でもラブコールしてくれて、いいのよ?うふっ♪」

結衣「……お前にはもう二度と電話しない」

京子「じゃあ私の方からしちゃおうっと♪」

結衣「着信拒否にするから」

京子「ひどい!?」



47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:06:11.81 ID:I7xWGOmT0


京子「最初の1台目は、私達の通学路に設置されるんだって~」

京子「それで生徒たちの感想を聞いて音声内容を修正して、街中に配置するらしいよ」

京子「楽しみだねえ♪」



けれど


最初の1台以降の自販機が配置される事は


無かった



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:07:39.51 ID:I7xWGOmT0


あかり「……京子ちゃんが、あんな事になっちゃったんだから……当然だよね……」

結衣「……」

あかり「……結衣ちゃんが、辛いのも判るよ」

結衣「……」

あかり「……けど、けど……」

結衣「……」

あかり「ここには、京子ちゃんは、居ないの……」

結衣「……」

あかり「居ないんだよ……」グスッ



52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:09:59.87 ID:I7xWGOmT0


あかり「……あのね、結衣ちゃん」

結衣「……」

あかり「結衣ちゃんが、ここで自販機さんとお話してる間……あかり達、毎日お見舞いに行ったよ……」

結衣「……」

あかり「京子ちゃんのあんな姿、見るのは辛かったけど……」

結衣「……」

あかり「けど……あかりも、ちなつちゃんも、杉浦先輩も、池田先輩も……みんな……」

結衣「……」

あかり「ちゃんと受け止めて……京子ちゃんの苦しみを受け止めて……」

結衣「……」

あかり「お見舞いに行ったよ……」



55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:11:54.18 ID:I7xWGOmT0


あかり「今日ね……京子ちゃんの、手術があるの……」

結衣「……」

あかり「失敗すると……死んじゃうかもしれない手術……」

結衣「……!」

あかり「あかり達も……頑張って京子ちゃんを応援するけど……」

あかり「けど……けど、結衣ちゃんの力が必要なのっ」

あかり「あ、あかり達じゃ、足りないの……!」

あかり「だって……だって、京子ちゃん……うわごとで……」

結衣「……」

あかり「結衣ちゃんの事……呼んでるんだもんっ」グスッ



57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:13:31.68 ID:I7xWGOmT0


あかり「だから……だからね……」

あかり「結衣ちゃん、結衣気を出して……病院に来てほしいの……」

結衣「……」

あかり「京子ちゃんと一緒に……戦ってあげほしいの……」

結衣「……」

あかり「きっと……結衣ちゃんが手を握ってあげるだけで……京子ちゃんはいっぱい頑張ると思うから……」

結衣「……」

あかり「……病院の地図、置いとくね」

結衣「……」

あかり「……あかり、もう行くから」



59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:15:11.63 ID:I7xWGOmT0


結衣「……」

結衣「……」

結衣「……」


『いらっしゃいませ~♪』


結衣「……うん、判ってた」


『お飲み物はいかがでしょうか~♪』


結衣「この声が、本物の京子の声じゃないなんて事は……判ってた……」


『毎度、ありがとうございま~す♪』


結衣「だって……だって、京子は私の目の前で……」

結衣「車にはねられたんだもん……」



61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:17:00.54 ID:I7xWGOmT0


結衣「けど……けど、私は怖かったんだ……」

結衣「そんな現実を認めるのが怖かったんだよ……」

結衣「だって……だって、京子が死んじゃうかもしれない現実なんて……認められるはずないじゃないかっ!」


『……』


結衣「だから……だから、私は病院には行かなかった……」

結衣「毎日、何時も通り暮らしてた……」

結衣「そうすれば……そうすれば、京子がまた、何時もみたいにひょいっと顔出すんじゃないかと思って……」


『……』



67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:21:01.15 ID:I7xWGOmT0


結衣「……けど」

結衣「けど……私が逃げてる事で、京子が寂しい思いをしてるなら……」

結衣「そのせいで京子が死んじゃうかもしれないなら……」

結衣「その方が……嫌だ、嫌だよっ……!」


『またのお越しをお待ちしていま~す♪』



結衣「……ごめんね」

結衣「今まで、甘えちゃってごめん……」

結衣「もう、大丈夫だから……」



69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:24:08.26 ID:I7xWGOmT0


結衣「私……ちゃんと、現実を見つめるよ」

結衣「京子の苦しみをちゃんと見つめて……助けてあげないと……!」


ピッ


結衣「?」


ピリピリピリピリピリッ……ピッ


ガラガラガラコローン


結衣「あ、あれ、何もしてないのにジュース出てきた……」



71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:25:39.46 ID:I7xWGOmT0


.


『おめでとうございま~す♪』


.



74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:27:19.97 ID:I7xWGOmT0


結衣「……こ、これ、当たりくじ付きの自販機だったのか……」

結衣「けど……どうして今……」



『……』



結衣「……もしかして、頑張れって言ってくれてるの……?」



『おめでとうございま~す♪』



結衣「……そっか」

結衣「……ありがと……今まで、ありがとうね」



77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:34:30.12 ID:I7xWGOmT0


結衣「よし、このジュースを持って……京子の病院に行こう」

結衣「それで……いっぱい謝って……」

結衣「京子の手を握ってあげよう……」

結衣「そうすればきっと……きっと……」


ガチャッ


結衣「……え?」



79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:36:03.61 ID:I7xWGOmT0


.



その時、私はジュースを取ろうと自販機の口に手を入れた


けど、私の手が触れたのはジュースではなく


誰かの手だった




.



80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:37:46.98 ID:I7xWGOmT0


結衣「……この手の感触」

結衣「小さい頃からずっと握ってあげてたこの感触は……」

結衣「……」

結衣「……きょうこ?」



グイィィィッ



結衣「い、痛っ……!」



83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:40:53.41 ID:I7xWGOmT0


私の手は、凄い力で引っ張られた

それと同時に、私の耳に自販機の声が届いた


『ゆ、ゆい?ゆいなの?』


「きょう……こ?」


『ゆいっ、たすけてっ!たすけてっ、こわいよっ!ここまっくらで……ひっぱられるっ』

『こわいっ……こわいよゆいっ!こんなのやだっ……ひとりはやだよぉっ』

『いたいのっ……からだがいたくて、さむいのっ、たすけて……ゆいっ』



85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:41:40.04 ID:I7xWGOmT0


その声を聞いて私は悟った

きっと

私は間に合わなかったのだ


京子の手術は失敗して……

そして……京子は……



二度と戻れない場所に行こうとしているのだろう



86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:42:14.96 ID:I7xWGOmT0


結衣「……京子、手を放さないで」


『ゆ、ゆいっ……たすけてゆいっ、ひとりにしないでっ……!』


結衣「……大丈夫だよ、京子……もう京子を1人になんてしないからさ……」


『ゆいっ……ゆいゆいゆいっ!』


結衣(うん……大丈夫)

結衣(もう絶対に、放さないから……大丈夫だよ)

結衣(京子……)



87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:45:02.07 ID:I7xWGOmT0


私の手は引っ張られる


自販機の中へ


京子の元へ


けど


もう絶対に放さないから


放さないから


だから



88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:46:05.75 ID:I7xWGOmT0


.



これからも、ずっと一緒だよ……京子……



.



90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:48:23.33 ID:I7xWGOmT0


.



グキッ


グキッバキッ


ゴキゴキゴキッ


ズズズズズズズズーッ


グキッ



.



94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:50:24.60 ID:I7xWGOmT0


ちなつ「……こんなのってないよ……あんまりだよ」ヒック

あかり「ちなつちゃん……」

ちなつ「うぅっ……」グスンッ

あかり「……お家に帰って、お葬式の準備、してこよう?」

ちなつ「う……うんっ……」ヒック

あかり「……あかりも、一度お家に帰るね」

ちなつ「うんっ……」グスッ



96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:51:18.76 ID:I7xWGOmT0


あかり「……」

あかり「結衣ちゃん……結局、来てくれなかった……」

あかり「……」

あかり「……まだ、あの自販機の所に居るのかな」

あかり「……」

あかり「行ってみよう……」



98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:52:31.69 ID:I7xWGOmT0


あかり「……あれ、結衣ちゃん居ないや」

あかり「……」

あかり「何処行っちゃったのかな……」


『いらっしゃいませ~♪』



102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:56:24.06 ID:I7xWGOmT0


あかり「……」

あかり「……結局……京子ちゃんの声が聞けるの……ここだけになっちゃったね……」


『お飲み物はいかがでしょうか~♪』


あかり「……」

あかり「京子ちゃん……」


『いらっしゃいませ~♪』



あかり「うっ……きょうこちゃんっ……きょうこ……ちゃあんっ」グスッ



103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 08:57:01.23 ID:I7xWGOmT0


あかり「ひっく……だ、駄目だよね……お葬式の準備しなくちゃならないのに……こんな所で泣いちゃ……」

あかり「……」ゴシゴシ



『毎度ありがとうございました~♪』



あかり「……ぐすっ」

あかり「……京子ちゃん……またね……」





『また来てね』



あかり「……え?」



108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 09:05:56.08 ID:I7xWGOmT0


あかり「……今の声……」

あかり「……」

あかり「……」

あかり「……」

あかり「……」

あかり「ゆいちゃん?」



109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 09:07:09.27 ID:I7xWGOmT0


京子「いらっしゃいませ~♪」

結衣「いらっしゃい」


京子「お飲み物は如何でしょうか~♪」

結衣「お飲み物は如何でしょう」


京子「まいどありがとうございます~♪」

結衣「何時もありがとうね」


京子「おめでとうございます~♪」

結衣「おめでとう」


京子「またのお越しをお待ちしてます~♪」

結衣「また来てね」



112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 09:08:37.52 ID:I7xWGOmT0


あかり「……」

あかり「……」

あかり「……」

あかり「……うん」


あかり「また、来るね、京子ちゃん……結衣ちゃん……」

あかり「こんどは……ちなつちゃんも連れて……」

あかり「一緒に……またごらく部、しようね……」

あかり「いっしょに……」

あかり「まえみたいに……



113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 09:09:15.57 ID:I7xWGOmT0


.



『ずっと いっしょ だよ』







おわり



115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 09:09:39.12 ID:jb8QuFzD0


あかん・・・


124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 09:20:00.11 ID:wJrfshP5O


ゆるゆりSSにホラーブームが来てるのか…?


127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 09:33:22.07 ID:bC1UIoaD0


ゆりゆららららゆるゆり怪事件


128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/13(土) 09:36:03.15 ID:6ZRq/qKt0


朝からありがとう面白かった乙


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[ 2013/04/13 22:46 ] [ 編集 ]

まさかトイレの人・・・?
[ 2013/04/13 22:50 ] [ 編集 ]

たまにはいいねたまには
[ 2013/04/13 23:03 ] [ 編集 ]

普通の日常系より女の子同士の絆が濃密だからこういう大事な人が死ぬ系のホラーが栄える…のかもしれない
[ 2013/04/14 04:30 ] [ 編集 ]

結衣気にワロタ
[ 2013/04/14 05:16 ] [ 編集 ]

唯から京子へ
トラックは受け継がれていくのだ
[ 2013/04/15 04:40 ] [ 編集 ]

いやぁ、上手く出来てるなぁ
[ 2013/06/18 20:03 ] [ 編集 ]

ホラー以外に、鬱も注意って書いたほうがいいんじゃ?
[ 2013/11/18 21:04 ] [ 編集 ]

世にも奇妙な…みたいだな。これは今までで一番怖かったかも。
[ 2013/12/11 00:14 ] [ 編集 ]

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